香港の都市鉄道事業者MTR(香港鉄路、港鉄)は、屯馬線(テュンマーシェン)の最後の建設区間を2021年6月27日(日)に開業しました。
新しく開業した区間は紅磡駅(フォンホム)〜啓徳(カイタック)駅間です(路線図は下図を参照)。紅磡駅で既存路線の西鉄線(サイティッシェン)、啓徳駅で2020年2月に開業した屯馬線第一期区間とそれぞれ接続します。これらの区間をすべて含めて香港最長となる約56km、全27駅の屯馬線として全線開通しました。屯門駅から烏渓沙駅まで、新界・九龍を東西に乗り換えなしで貫通する屯馬線は、6つの駅で他のMTR路線と接続し、香港各方面へのアクセスも良好です。
九龍地区東部を走る新規区間には、土瓜湾駅(トゥクワワン)および宋皇台駅(スンワンタイ)の2つの駅が新たに開業し、地域の交通状況の改善が図られます。このうち、宋皇台駅は建設中に宋王朝時代の遺跡が多く発掘されたことから、駅のデザインやアートワークは考古学的要素が多く取り入れられた特徴的なものとなっています。
西鉄線の折り返し駅だった紅磡駅は、屯馬線として直通運転を開始するために新たなホームが設けられ、コンコースを経由して東鉄線へ乗り換えできるよう改良されました。また、何文田駅(ホーマンティエン)は屯馬線が既存の観塘線(クントンシェン)と交差し、乗り換え駅となっています。
MTRでは、2022年開業を目指して東鉄線を現在の起点である紅磡駅から、香港島の金鐘駅(ガムジュン)駅間まで延伸する工事が進められています。完成すると海峡を渡る4つ目の鉄道路線となり、新界と香港島をつなぐ交通網がさらに充実します。